次男を出産後、3週間くらいして出産した病院から電話がかかってきました。
電話の先生は、小児科医。
「お子さんの検査結果で気になる数値が出たので、再検査したい」とのこと。
当時、出産直後にやや遠い病院まで再度足をまた運ぶのは面倒だなと思っていたので、「1か月検診のときに病院へ行くので、その時では無理ですか」と聞いてみたのですが、「成長に関わることなので、すぐに来てください」と。
この話の時点では、1か月検診で行くのにわざわざ先に行くのは面倒だと、まだ思っていたので、当時は相当面倒くさがりだったと思います。
先生の押しの強さで、予約を入れ、即日病院へ行ってきました。
病院での先生の説明では、次男が受けた新生児マススクリーニング検査で、先天性甲状腺機能低下症で引っかかったと言われました。
出産直後は、血液検査の結果も安定しない場合もあるので、念のため再度血液検査をしてほしいという話でした。
新生児マス・スクリーニング検査とは
生後4~6日目のすべての赤ちゃんを対象にした検査です。
赤ちゃんに生まれつきの病気があるにも関わらず、それを知らずに放置してしまい、成長とともに障害が出てくるような病気があります。
このような病気を生まれてすぐに検査し、病気を見つけて治療することで、知能障害や発達障害を予防できます。また重い症状が出ないように注意して、日常生活を送ることができます。
新生児マス・スクリーニング検査で見つけられる病気は以下の通りです。
2011年以降は従来対象とされいた6つの疾患から増え、19疾患が対象となりました。
検査対象となった疾患は、以下の通りです。
- ガラクトース血症
- フェニルケトン尿症
- ホモシスチン尿症
- メープルシロップ尿症(楓糖尿症)
- シトルリン血症I型
- アルギニノコハク酸尿症
- メチルマロン酸血症
- プロピオン酸血症
- イソ吉草酸血症
- メチルクロトニルグリシン尿症
- ヒドロキシメチルグルタル酸血症
- 複合カルボキシラーゼ欠損症
- グルタル酸血症1型
- 中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(MCAD欠損症)
- 極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(VLCAD欠損症)
- 三頭酵素/長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症(TFP/LCHAD欠損症)
- カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1欠損症(CPT-1欠損症)
- 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
- 先天性副腎皮質過形成
次男は2010年生まれのため、当初の6疾患のみが対象でした。
そこで、この先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の検査に引っかかり、病院から呼ばれたわけです。
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)とは
生まれつき甲状腺の働きが弱く、甲状腺ホルモンが不足する疾患です。
先天性甲状腺機能低下症の場合、成長が遅くなり、背が伸びないなどの見た目の発達だけでなく、精神発達や知能発達にも影響があります。
検査ではおおよそ4000人くらいに1人の割合で見つかっています。
個人的な感想ですが、人数だけ見ると比較的多い印象を受けました。
検査に関しての前提知識
検査項目の詳細は、
のサイトをご覧ください。
この中で、先生から特に説明されたのが、TSHとFT4です。
検査後の説明では、この2つの数値を中心に話が進められました。
TSHとは
TSHは甲状腺刺激ホルモンで、甲状腺ホルモンの分泌を調節しています。
甲状腺ホルモンが出すぎているときは、抑制するために、逆に出ていないときは出るように指令を出す役割をしています。
FT4とは
FT4は甲状腺ホルモンです。これがきちんと出ていることにより、成長が促進されます。
TSHとFT4の関係
FT4が足りていないと、TSHがFT4を出すために増えます。反対にFT4が多すぎると抑制するために減ります。
まとめると、
FT4が少ない→TSHが増加する
FT4が多い→TSHが減少する
といった関係にあります。
再検査に次ぐ再々検査
最初に病院から電話があったときは、「血液検査の結果で数値が引っかかっているところがあるので、すぐに来てほしい」というレベルでした。
ようは、診断が完全に下せないグレーな状態だったようです。
このときは数値として引っかかっていたのは、TSHのほうでした。
そのため、再度検査をすることにりました。
この時点では、血液検査の結果が新生児で安定しないために、再検査してもう一度確認したいという話のため、診断が下っていませんでした。
このときがマススクリーニングの再検査になるのですが、この時点ではまだ軽い説明のみでした。
というのも、判断ができないグレーな状態の場合、再検査すれば血液検査の数値が安定していることがあり、病気ではなかったとなるためです。
最初にその話を聞いたので、もしかしたら何かの間違いかも?と期待を寄せていました。
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の血液検査は、結果が約1時間程度で出るので、当日にわかります。
再検査した結果、おかしかったと言われていたほうのTSHは問題がなく、今度はFT4の数値が低いと言われました。
これでは判断がつかないということで、後日再度検査することになりました。
再々検査は約1週間後でした。
1か月検診前にさらに血液検査を受けた結果
1か月に満たない赤ちゃんを頻繁に病院に連れていくことを考慮してか、1か月検診のタイミングで検査しようかという話があったのですが、予約していた日を先生が見たときに、少し遅いと思ったようで、それよりも前の日になりました。
そのため、再々検査が約1週間後となったわけです。
結果によると、やっぱり数値が上がってこない(FT4が下がったまま)ということで、先天性甲状腺機能低下症と最終的に診断されました。
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)と診断されたら
診断がされると、今度は精密検査を受けることになりました。
甲状腺の超音波検査と骨の発達を見るためのレントゲン検査です。
甲状腺の超音波検査はプロープを首に当てるだけだったのですが、レントゲン検査は膝の骨の発達を見るために、脚を無理やり伸ばされたようで、廊下に鳴き声が聞こえてきました。
両方の検査とも以上なしでした。
さらには念のため、遺伝かどうかも考えられるので、私自身も採血検査をしました。
こちらも特に異常なしでした。
実は先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)と診断されたときにも、先生に聞かれたことがあって、「妊娠中に丼いっぱいに昆布を食べたりしなかったか」と。
丼いっぱいの昆布って、相当ですよね。
もちろん食べたことがないので、「食べてません」と答えるしかありませんでした。
また、昆布などをたくさん摂取する機会があったかというと、それもありませんでした。
妊娠中に極端に海藻類を取ることで、ホルモンを作るもととなるヨードが増えるため、それが赤ちゃんに影響を与えてしまうそうです。
ヨウ素(ヨード)過剰摂取の危険性について – 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の治療に関して
先生からの説明では、この疾患が見つかった場合、早期に治療を開始することで、発達の遅れをなくすことができるため、早めに検査を受けるのが大事だと言われました。
また、先生から追加で以下のような説明がありました。
- 適切に治療することで、発達の心配がなくなるということ
- 治療は難しいものではなく、成長を促すホルモンと同様の薬を投薬すること
最初に、「子供が発育不良の可能性のある病気にかかっています」と言われたら誰でも不安です。
私も病院へ行くまでは、「また病院へ行くのが面倒」と思っていたのですが、病気の話を聞くと、「なんでうちの子が」と暗くなりました。
そして、薬を飲めば他の子と同じように成長すると言われても、生まれてまだ1か月も経っていない子供が、「発育不良の可能性がある」と言われているのに、どうして健康に育つのかも想像できませんでした。
とりあえずは毎日必要な薬を確実に飲ませるだけなので、不安はありましたが、子供のおむつを替えるくらいの気持ちで、日課としてとらえるようにしました。
先天性甲状腺機能低下症の薬
処方されたのは、チラージンSという名前の薬です。
これは体内にある甲状腺ホルモンと同じ役割を持つため、何かを治すといったものではなくて、足りないホルモンを薬で補っている状態です。
「例えば、不足している栄養をサプリで補うみたいなイメージです」と先生も言っていました。
薬は毎日1回飲ませるだけでしたので、負担としては少なかったと思います。
次の記事>>>先天性甲状腺機能低下症の治療を開始してから
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