今回、感想をまとめるのは、「合葬」です。
柳楽優弥、瀬戸康史のW主演ということで、期待度が高まりました。
あらすじ
慶応四年(1868年)四月十一日、三百年に亘る江戸幕府の時代が終わりを告げた。 第十五代将軍・徳川慶喜は新政府軍に江戸城を明け渡し、明治時代が幕を開けたのである。 鳥羽・伏見の戦い後、将軍の警護および江戸市中の治安維持を目的として有志により結成された「彰義隊」。高い志をもって結成され江戸の民衆から慕われながらも、幕府の解体とともに反政府的な立場に追いやられてしまった彰義隊は、「新撰組」や「白虎隊」に比べると、これまであまり語られることがなかった。 『合葬』は、将軍に熱い忠誠心を持ち、自らの意思で彰義隊に加わった青年・極 (柳楽優弥)と、養子先から追い出され、行くあてもなく赴くままに入隊した柾之助(瀬戸康史)、彰義隊の存在に異を唱えながらもそこに加わらざるをえなかった悌二郎(岡山天音)の、時代に翻弄された数奇な運命を描く。
https://www.shochiku.co.jp/cinema/lineup/gassoh/
キャスト
柳楽優弥:秋津極
瀬戸康史:吉森柾之助
岡山天音:福原悌二郎
オダギリジョー:森篤之進
門脇麦:福原砂世
桜井美南:かな
他
感想
瀬戸康史くんが主演で出てるっていうので、わくわくしながら見ました。
タイトルは「合葬」。
文字と映画のスチールを見て、時代劇なのだと理解しましたが。
合葬という言葉からして、その時代の風俗、あるいは民俗学的なものをイメージしていました。
正直、「もしかしたら、お墓の話かな?」と。
なんといっても「合葬」ですから。
この時点であらすじだけでも読んでおけばよかったのですが、その時代の埋葬および民衆の生活のお話ではありませんでした。
まず、彰義隊という集団が何かわかっていないと、この話はついていけません。
どうやら、15代将軍徳川慶喜のために組まれた集団であり、その集団に関するお話だということ。
ざっくりいうと、秋津極(柳楽優弥)、吉森柾之助(瀬戸康史)、福原悌二郎(岡山天音)が彰義隊のメンバーで、この3人を中心に話が回っていきます。
映画全般見ていて感じたのは、柳楽くんは常にギラギラ、瀬戸くんは柳楽くんに自分の気持ちをごまかしつつも渋々ついていき、岡山くんに至っては、もっと渋々しながらも時には瀬戸くんよりも柳楽くんの後をついていっている、そんな感じの関係でした。
江戸から明治にかけてなので、リアルさを追求しているのか、部屋の撮影が暗い時があり、顔がはっきり見えないことも。
おかげで、門脇麦演じる福原砂世と桜井美南演じるかなの見分けがつかず、ようやく最後にどっちがどっちだったか判別したくらい。
将軍様をお守りするとか、大義名分だとかいうセリフがたくさん出てきて、柳楽くんが血気盛んなのですが、W主演の瀬戸くんはどこに行った、岡山くんのほうが存在感あるぞという状態に。
昼は将来の夢を語り、夜は遊郭で宴。
遊郭なので、もちろん女性と仲良しになる個室シーンもありますが、瀬戸くんは着物を来たままシーン終了でした。
正直このあたりは、瀬戸くんのシーンは何もなくてよかったと思います。
他の俳優さんは、仲良しでしたけれど。
終盤、彰義隊が反政府集団という位置づけで討伐されていくのですが、途中途中でも何かにつけて、どんどん人が切られていきます。
どちらかというと、血なまぐささが強い。
この彰義隊が当時何をしていて、どうして追いやられたのかは幕末の状況がわからないと、全くわかりません。
歴史を知らないと、「なんでこの人たち、戦ってるの」という置いてけぼり感があります。
そして、この話にさらに不思議な要素を入れてくるのが、門脇麦演じる福原砂世です。
元々砂世は秋津と婚約していたところを秋津から婚約破棄を言われ、新たに他の人と結婚します。
ですが、その前に秋津を忘れられない砂世は、結婚する前に秋津を一夜を共にします。
そのことをどうしても黙っていられなくなった夫に、「隠し事をしているのがつらい」というのですが、優しい夫は笑顔で「話してもいいよ」と答えてくれます。
秋津と砂世の事実を聞かされた夫の笑顔は、同じ顔のまま。
この門脇麦の役があったからこそ、最後のシーンでなんとも言えない夫の笑顔が仏なのか鬼なのか読み取れなくなるというところで終わりました。
話してもいいよという夫の笑顔もなんとも読み取れないのですが、砂世が話し終わった後の夫の笑顔も、全く変わらない。
それが、すごく闇を感じるんですよ。
ものすごく深い闇を。
映画はここで終わりますが、最後に見た夫の笑顔の読み取れなさに背筋が寒くなりました。
そして、エンディングの音楽。
こちらもまた、不思議な音の層でできていて、何かに取りつかれているのではないかと思うようなメロディでした。
瀬戸くんがW主演でよかったなと思うのは、最後の最後で抜けられてよかったね。
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